介護施設の管理者さんへお伝えしたい【事故報告書の読み方】

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おはようございますm(__)m
今日も午前の更新です。
毎日更新4日目の今日は、【事故報告書の読み方】というテーマで書いて行きたいと思います。
これは特に介護施設の管理者さんや、運営に携わる方にお伝えしたいと思います。

介護施設で起きる『事故』について

介護施設で仕事をしていると、どこでも必ずある事故報告書。
書式だったり書き方だったりも、だいたい似たようなものが多いのではないでしょうか。
簡単に言えば、施設内で起こった『事故』について詳細を記録したもの。
日時、場所、前後の状況や内容について記された書類ですよね。

ただ、ここで一つ。
『事故』ってなんでしょう。

以前の記事にも書いたと思うんですが、私は以下のように3つのパターンに分けて考えるようにしています。

1.今後も起こりかねない防げない事故
2.今後の対応によっては防げる可能性のある事故
3.職員、利用者問わずルールを破ったことにより起きた事故

なぜ分けて考えるのか。
別に誰かを責めるためではありません。

それぞれによって解決方法や、そこに至るまでの道筋が変わってくると思うからなんです。
まず、それぞれについて詳しく書いてみましょう。

防げない事故とは

まず、1つめにあげた【今後も起こりかねない防げない事故】についてです。
例として、
普段、自立歩行をされている利用者が居室内で転倒した。場合などがあげられると思います。

発見者は恐らく事故報告書に記載をし回覧するでしょう。
内容に関しては、利用者から聞き取りをした内容になるでしょう。

問題は今後の対策ですよね。
恐らく、ほとんどの場合が
・環境の整備
・本人への意識付け
・リハビリ等への参加による歩行能力の維持、向上
になるのではないでしょうか。

でもね。
僕だってこけます。
誰しも動けばこける可能性はあります。
どこまで環境を整備しても、本人が気を付けても、リハビリしてもこける時はこけます。

だから放っておけという訳ではないですよ^^;
ただ、まずそういう種類の事故もありますということです。

防げる可能性のある事故とは

続いて2つめ【今後の対応によっては防げる可能性のある事故】についてです。
同じように転倒を例としてあげるなら、
自分で衣服を整えることができない利用者が、ズボンの裾を自分で踏んで転倒した。場合ですね。
(安易な例ですが、わかりやすくするためですw ご容赦をm(__)m)

対応策として
・衣類のサイズを確認する(環境整備)
・整容の確認
などで防ぐことができる場合もあると思います。

ズボンの裾を踏んで転倒したから、杖を使おうとか歩行器を使おうとかなりませんよね。

事故という名の失敗

3つめは職員、利用者問わずルールを破ったことにより起きた事故です。
これ、事故と名はついてますが、言わば失敗。
嫌な言い方をする過失ですよね。

同じように転倒を例とするなら
普段車椅子で移動されており、歩行不可能な方に手引き歩行を試みて転倒した。とか
(あり得ないでしょうけど)

これは明らかに失敗ですよね。
でも、歩行してもらおうとした事が失敗ではないんです。

施設内で決まってる介助方法=車椅子で移動を、周囲に相談することなく独断で根拠なく行ってることが失敗なんです。

車椅子を利用していた方が歩行できるようになった。
これだけ見ると良いことのようです。
でもね。
その過程によっては評価は変わってくると思うんです。

例えば、
・医師の診察から骨の状態は歩行しても問題ないと判断されているのか。
・PTによる歩行状態の確認や歩行のための訓練は経ているのか。
・施設内で歩行される場合の転倒に対するリスクについて考え、可能な範囲でのリスク除去はされているのか。
・職員間で車椅子の利用から介助歩行に対応が変更されていることは周知できているのか。
などなど。
そんな経過を飛ばして、
『歩けそうだから、やってみたら歩けた。自分が対応する時は車椅子使わない』
では、何の意味もないですよね。

結果として、転倒してしまったら?
事故という名前にはなりますが、それはただの失敗です。

なぜ3つのパターンに分けるのか

ここまでに3つのパターンに分けて事故について書いてきました。
では、なぜ分けて考えるのか。

対応策や、そこに至るまでの過程が変わってくるからです。

時折、どの事故報告書についても一様に事故対策委員会で議題に挙げて、執拗に改善策を問う。なんて場面を見かけます。
そこで出てくる改善策で本当に、その事故は防げますか?

この記事の題名として≪介護施設の管理者さんへお伝えしたい≫と書いたのも、それが理由です。

例えば、1つめの防げない事故に対して改善策を問う。
もちろん、転倒がないのは喜ばしいことです。
でも、防げない転倒を防ぐ方法を述べよと言われた職員はどう感じるでしょう。

管理者としては方法を問うたつもりでも、【責められた】・【責任を問われた】と感じる職員は多いのではないでしょうか。
それで事故は防げますか?

繰り返しになりますが、だからといって転倒しても放っておけと言っているのではありません。
報告書に環境の整備であったり、意識付けやリハビリについて記載してあって、それが的を得ているなら改めてとりあげる必要ないんじゃないですか?ってことですね。

1つ目のパターンの事故に関して言えば、事故報告書の役割は
・事実の周知
・事実の記録(継続して起こるようならば、別の対応策を考える必要もあります)
になるのではないでしょうか。

それに対して2つ目のパターン。
これは命にかかわる場合などは緊急の会議(簡素なもので良い)を開催してでも早急に対応策を決定し、すぐに実施するべきです。
次の職員会議まで待ってる場合ではありません。

例にはズボンの裾を踏んで転倒と書きましたが、実際には繰り返し転倒している方もそうです。
パターン1が頻度によってパターン2に変わることもあるでしょう。

問題は3つめです。
これ、改善方法はルールを守る、相談する以外ありますか?
それを1つめ、2つめとまとめて議題にするって考えられますか?

事故報告書はこう見てほしい

結論です。
ここまでに書いてきたように、管理者の方には事故報告書は事故のパターンに分けてみてもらいたいんですね。
そして、その内容によって、
・会議を要するのか
・開催時期は急を要するのか否か
を検討してもらいたいんです。

それをしないと、

●事故報告によって責められたと感じる職員が増える
●無駄に会議の時間が長くなる
●防げたはずの事故への対応策の決定が遅れる
●的外れな改善策によって事故そのものが減らない

などの弊害が考えられるんじゃないかと思うんです。

職員が事故報告書を書くことを嫌がる施設。
事故報告書(ヒヤリ・ハットなども)の枚数が極端に少ない施設。

事故が少ないからって理由なら良いんですけど・・・。
「責められる」から書かない、出さないなんて思われてる施設では、こんなことやってないですか?

報告書の枚数は減ったけど、事故は減ってない。
そんな事にならないように、試してみてください^^

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